凍る魚

好きだったはずのもの
気に入っていたはずのもの
とても大切に思っていたもの
日ごとに目の前から消えていきます
まるでドミノ倒しのように
その価値を失っていくのです

今までさんざん甘えてきた罰でしょう
もう信じられるものも
すがれるものもなくなりました

薄々は気付いていたのでしょう
好みのようなものは即物的になっていました
それでもそれを守るために必死になって
そう必死で頑張ってしまったことで
きっと最後のひとかけらを失ったのでしょう
大切なものを大切だと認識するためのシステムを
私にとってもっとも重要な回路をです

それでも涙は流れるのです
生きるためのシステムは生きていて
私に頑張ることを要求するけれども
生きるためには生きられないのです
だから頑張ろうと思うたびに涙は流れます
流しても報われない涙です
動機が失われているのですから

悲しいから泣くのではありません
苦しいから泣くのではありません
生きるためのシステムを私は拒絶し
その摩擦が涙になって流れるのです
だから泣きつづけるのは悲しいです
泣きつづけるのは苦しいです

やがて痛みは私を壊すでしょう
せめて最後に壊れるのが思い出でありますように