closely

ことさら君を
特別扱いしたりしない

ううん、そういう意味じゃないよ

特別扱いするのは
特別じゃないってことだから

ことさら君を
特別扱いしたりしない

そう、君は特別だからね

だって君はここにいるし
ずっと僕はここにいるよ

君と過ごすひとときの時間が
とてもいとおしく思えるから

力を抜いて感じていたいし
感じていて欲しいと思う

だから僕は
君を特別には扱わない

未来へ亘る時間なんて
こんなに感じたことなかったよ

ずっとがいいんだ
ずっといっしょがいい

ゴーレム

たぶん僕はここにいない

だから僕を埋めて
僕を形作るために

もうここにいない僕を

積み塞がる土の形が
まるで僕を形作るように

ねぇ君よ
もう迷わないで

お願いだから僕を埋めて

消せない吐息が
積み塞がる僕の形と
まるで土を形作るように

そっと僕を埋めて
僕を形作るために

わがままV

わがままだと思ってたから
あまり言わなかったけど
意地になるよりいいと思うから

言うね

君のことが好き
大好き

ほんとはね

君だけ見ていたい
僕だけ見ててほしい

ずっといっしょにいたい
ずっと、ずっと

狂いそうなくらい
求めあうままに
痛いくらいいっしょにいたい

ほんとはね

わがままじゃイヤなんだ
受け止めてほしい

ずっと思ってたよ

同じじゃなくていいなんて嘘だよ
嘘ついてごめん

狂いそうなくらいの好きの気持ちも
ほんとはいっしょがいいんだ

大好きだよ
言葉はそれしか出てこない

君が大好き

受け止めてほしい
もっともっといっしょがいい

きっと欲張りなんだと思う
でも大好きなの

受け止めてくれる?

明日になったら

ねぇ、明日になったら

君はその手で僕を抱くの?
まるでスイッチでもついてるかのように

僕を抱くの?

もし僕が何も言わなかったら
まるでなにもなかったかのように

僕を抱くの?
その手で?

手のひらの星

あの日君が僕の手のひらにくれた小さな星を
僕はずっと握りしめていたんだよ

ぎゅっと強く握りしめていたから
きっと星も窮屈だったろうと思うけれど

いまこの手にあるこの小さな星は
こうして君と繋いだこの手のなかに
ふたりの手のあいだにあるって思っていいよね?

僕はずっとこの星をひとりで
そっと握りしめていなくちゃいけないんだって
そうするしかないんだって思っていたけれど

いまこの手にあるこの小さな星は
こうして君と繋いだこの手のなかに
ふたりの手のあいだにあるって思っていいよね?

きっとずっとふたりを繋いでくれるよね?

カタチ

君のカタチはきっとコトバにならない

隙間を埋めるコトバは僕があげる
カタチを示すコトバだって紡ぐけれど

君のカタチは僕を左右しない
覚悟を決めるのは得意だからね

さあ、コトバを交わしましょう

不安は消えないけど共有することはできる
僕に渡してくれるならね

不安は消えないけど拡散させることはできる
僕に委ねてくれるならね

わがままIV

たった一度だけでもいいから
ちゃんと君の瞳を見つめながら

「だいすきだよ」って言いたかったの

答えなんて要らない
同じように好きじゃなくていい

わがままだってちゃんとわかってるもの
受け容れてもらえなくてもいい

ごめん
嘘だよ

ほんとは何度だって言いたいもの

ちゃんと君の瞳を見つめながら
「だいすきだよ」って言っていたいの

答えなんて要らない
同じように好きじゃなくていい

理由なんてなんでもいいから
ここに置いておいてよ

モノリス

よく見る夢なんだ

状況だけはリアルに存在するのに
絶望的に「誰もいない」夢

すべてが事後的で
切り離された事実だけが散乱する世界

経過する事態なんてどこにもない
形成されてしまった事象と
記念碑のような単純な記録だけが
淡々と刻まれている世界

これ見よがしに置いてあるのは
ト書きのようなぬくもりだけ

「あなたは癒されました」

ああ、けっこうなことだ
なんて幸せなんだろう

ときどき思うよ

僕の知覚しているこの地平には
生きている人間なんてもう
ひとりもいないんじゃないだろうか

それすら事実に過ぎないとしたら
僕自身が刻まれる記念碑そのもので
この声がただのナレーションなのだとしたら

首尾よく目覚めることができたとしても

僕の知覚しているこの地平には
生きている人間なんてもう
ひとりもいないんじゃないだろうか

on track

誰もいない競技場で
コールされたまま
ずっと同じ姿勢で
ただ立ち尽くしている

冷たい雨が降り注いでも
僕はただそのままで

雨は僕を洗い流しますか?
雨は本当に僕の表層を流れていますか?

だってこの両手は広がらないもの
天空を見上げることだってもうできないから

僕はいまどんな姿ですか?
この雨はもうとっくに僕を通過して
何ごともなかったように地面を打っているのではないの?

僕を構成するものや
僕にとっては不随意なものも
なにもかも、もう僕には追従していない

僕は僕のμ値をもう感じないんだ