êtes-vous vide?

こっち見てるの知ってるよ
でも気づいてあげない

声もかけられないよーなのに
チャンスなんてあげない

いきなりなんかプレゼントとか
持ってきちゃうようなのもパス

気に入るかどうかとか
スキかどうかとか
そんなこと以前に

キミはちゃんと
キミをやってるのかなぁって思うんだ

なんにも持ってないのに
気に入るとかって無理じゃん

女の子に気に入られるための知識なんて
ほんとなんの役にも立たないんだからね

そのくらいわかってよ
わかったら聞いてあげてもいいよ

こっち見てるの知ってるよ
でもキミじゃないキミなんかには
気づいてあげないんだからねっ

extended

引き伸ばされる時間は
目には見えない蜘蛛の糸

絡め捕られたのに
気がつかなかったの?

そうだね
動けなくなるわけじゃない

ただほんのちょっと動きにくくなるだけだから
気がつかないのは無理もないさ
それは少しだけ君を不随意にして

そのぶんだけ君を不機嫌にして
君を少しずつ消耗させていくんだ

でもその糸はいくらでも伸びるから
引きちぎることはできないよ

ねぇ僕ならきっと
縦糸と横糸の見分けくらいはつくから
君のそばまですぐに行けるけれど

ほんとのことを言うと
どうしたらいいのかまだ迷ってるのさ

糸を凍結して伸びなくする代わりに
君を動けなくすればいい?

糸を切り離して動きやすくする代わりに
今度は重力に対して無防備にすればいい?

それともいっそ
いっしょに鳥にでも喰われちまおうか?

さて
どうするのが優しいと思う?

en main

いまあたしの手の上にある
「これ」について知りたいんだけど

誰に訊いたらいい?
あなたが答えてくれるの?

違うよ
あなたの手にあるのは
あたしにとっては「それ」だもの

そうじゃなくて
知りたいのはこの手の上の
「これ」についてなんだってば

誰に訊いたらいい?
あなたが答えてくれるの?

いまあたしの手の上にある
「これ」について知りたいのよ

ailes transparentes

あなたには聞こえない
あなたには届かない

聞こえたってきっともう
何も感じないでしょ

だからあたしは自由なの
あなたが色をくれなかった
この無色の翼で

あなたには見えないこの翼で
どこへだって飛べるから

からっぽの自由でも
それでもあたしは自由なの

あなたがあたしにくれた
やさしさのような景色

あなたのあてがおうとした世界
とってつけたような境界なんて
簡単に越えられるわ

ほらもう

あなたには聞こえない
あなたには届かない

聞こえたってきっともう
何も感じないでしょ

in reply

君の「ごめんなさい」に僕は
そっと「ありがとう」と応えましょう

そもそもそんなに謝る必要なんて
ぜんぜんないんだよっていつも言ってるけど
君は二言目にはいつも「ごめんなさい」って言うから

ついつい笑っちゃって
それはそれで怒られたりするけど

それもきっと君らしいってことで
だからいちおう抗議はするけど
それをやめろってことでもなくて

むしろ謝ってくれることが
僕を繋ぎとめておこうってまでじゃなくても
すくなくともここにいてもいいってことかなって
すこしばかり自惚れながら

君の「ごめんなさい」に僕は
そっと「ありがとう」と応えましょう

tender touch

たぶん僕の指先が
触れるか触れないかの
そのくらいの距離でいるのが

たぶんいちばん優しい
ふたりの距離になるのかな

痛む余裕すらないときはあるよね
きっと君はぜんぶわかっていて
目を逸らそうとしているわけでもなくて

たぶん君の表層に
触れるか触れないかの
そのくらいの距離でいるなら

近づきすぎないことで
見えてくることだってあるからね

ただ現実を突きつけることなら
きっと誰にだってできるから
僕のすべきことはそんなことじゃなくて

たぶん僕の視界に
君のすべてが納まるような
そのくらいの距離でいられたら

たぶん君の現実を
僕の中で減速することや
順序を替えることだってできるから

温もりのひとつ手前
存在を繋ぐだけのかすかな安心

だから僕はただそばにいるよ
行為者としてではなく存在として
手を伸ばせばすぐに届くところにいるよ

せめて君が少しでも
安心して眠れるように
このくらいの距離でいるから

目を閉じてもだいじょうぶだよ
不安になったら手を伸ばせばいい

ただそっと触れるから
いつだってそっと触れるから

ねぇ目を閉じて
力を抜いていてください
きっとすぐに眠れるから

だってほら
君には聞こえるでしょ
だからだいじょうぶだよ

「おやすみなさい」

ね、だいじょうぶでしょ?

end credits

少なくとも君はまっすぐだったよ

喩えるなら終わりのない
谷折りの折り目のように

下向きのedgeの直上を
容積を失いながら流れていくのに
それでも絶え間なく注がれる感情

湛えかたを知らないままに
限りなくzeroに近いその距離を
君は測りかねていたんだよね

まるでrorschach testのよう
機械的に畳まれる意識と意識のあいだで

無作為に拡がるインクの末端に
僕はきっと僕自身を見ていたんだと思うよ

挟まれた深層が行き場を求めて
作り出した図形は偶然じゃない

挟ませた作為が君を苛むけれど
それだってきっと偶然じゃない

だから僕は半身を実体側に押し出して
せめて受け皿になりたかったけれど

君は容積のあるものを求めながら
自身に体積を持つことを望まなかったから

そう君は
器のないinterface

それでも君は
まるで境界線そのもののように

少なくとも
僕にとって君はまっすぐだったよ

validator

別に審判をやろうとか
思いあがってるわけじゃなくて

僕が感じられるものは
ただの違和感だけだから

あなたが嘘をついてるって
指摘したいわけじゃなくて

僕が感じられるのものは
それがそこにあるってことだけ
それを示す言葉はほかにもあるのに

あなたがほかの言葉ではなくて
その言葉を選んだっていうこと
それはあなたを構成する感情のうち

あなたがほかの感情ではなくて
その感情を表出させたかったってことで

正しいとか正しくないとかじゃなくて
それを表出させた流れが自然だったかどうか

ほんとかとか嘘かとかじゃなくて
表出したものにあなたが納得してるかどうか

それがあなたにとってvalidであるかどうか
僕にはわかってしまうからね

あなたが望むのなら
僕はあなたにとっての鏡になりましょう

それが暗黙のうちに
「それでいいの?」という問いかけを
あなたに向けてしまうことになって

それが僕を二重化して
より鮮明な像を結ぶ残酷が
あなたを遠ざけてしまうことになっても

あなたが望むのなら
僕はあなたにとっての鏡になりましょう

バクテリオファージ

今の僕は僕にとって
きっとテンペレートになりつつあって

いつのまにか用意されたのは
誰のためのリプレッサーだろう

身を守るだけのプロファージなんて
僕は望んじゃいないのに

どうせ組み替えられるなら
中途半端に溶原化されるより

いっそヴィルレントであってくれれば
潔く溶菌してしまえるのに

それでも可能性という名の遺伝子は
たしかに挿入されたのだから

だから僕は望んでいるんだ
僕の外側にいる観察者たちよ
僕の核酸に収束するUVをください

まるで嘘を見透かすように
リプレッサーを不活性化して
感染した僕の構造を解除してください

やがて僕の状態は破綻し
その遺伝子は発現するだろう

僕は僕を溶菌して
大量の子ファージを放出するだろう

さあ僕よ僕を突き破り
幾億幾千の可能性を示してみせろ

psycho enhancer

開かれた感覚は
見慣れないかたちの

羽ばたいては抜け落ちる
不確かな翼

不確かさゆえに
重力を見失えることもなく

震う羽ばたきに
僕はただ研ぎ澄まされて

届けられたものは
いつか見たような

重なるように繰り返す
不確かな鼓動

含まれるのは
逡巡という微細な帯域

増幅する僕を
壊していくover range

借りものの翼
この指先まで張り詰めるのに

どこまで飛べる?
抜け落ち終わるまでに

これは誰の帯域?
絡まる境界線を失わせながら

時間を平坦に
刻むoscilloscope

出力が足りないなら
僕を追い出して同期させればいい

能力者としての
僕はただの器だから

気にすることはないよ
まったくもっていつものことさ

通過されるだけの
僕はpsycho enhancer