strangler vine

壁を覆いつくす緑なすつる草のように
君を覆い隠してしまおう

月のない夜空が
君を溶かしてしまわないうちに

闇と君との隙間に入り込んで
君の姿を緑に写し取ってしまおう

つややかに垣根に絡みつくつる草のように
僕は君の首に手をかけよう

月のない夜空が
君の吐息に吸い寄せられないように

時間と君との隙間に入り込んで
息をすることさえ忘れさせてあげる

音もなく滴り落ちる夜露のように
君の鼓動さえ僕が刻むから

やがて訪れる朝の光に
白く埋め尽くされてしまうまで

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angel halo

ひとつひとつはとても小さくて
ちょっと目を離したら見失ってしまいそうで

でもそれが手をつなぐように
輪になってゆるやかに回っているのが

ちゃんと見えてるからね
そうだよ、いつだって君は

嘘なんてついてなかったから
痛みにしか感じられなかった

ひとつひとつのものが
きっと君に光をくれるよ

それはほんのわずかな光だけど
控えめにでもきらきらと光る

光の粒に変わっていくんだ
迷い、戸惑い

すこしの嫌悪感
消し去りたい思い

揺らぎ、薄まる感覚
いくつかの空白

何かを否定する言葉
それでも譲れないものが

君と交わした約束
そんな思いに

今にも引き裂かれそうだったのに
それでも君は

ちゃんと前を向いてみせたから
ほら君の思いが

君の頭上でつながって
きらきら光る輪になるよ

ひとつひとつはとても小さいけど
いつか温もりに変わる光を湛えていて

いつだってそこでひとつの輪になって
すこしだけ誇らしげに君を示してみせるから

そう、君は僕の前に現れたときから
すこしも変わってなんかいない

僕にはちゃんとわかってるから
だから、だいじょうぶだよ

snooze

何度目かの目覚ましの音のあと
半開きの意識のなかで

君の声を聞いたような
そんな気がしたんだ

そう今はちょうど
そんな距離なのかもしれない

君と僕のあいだで
少しだけ現実めいてみせる

予定調和的に不確かな
ささやかな共通認識

耳に残る目覚ましの音と混じる
半開きの君が不意に

僕に微笑みかけたような
そんな気がしたんだ

そう今はこうして
迷いを差し伸ばすばかりの

それでも確かに刻んでいる
ともに流れていく時間

きっと君は手探りで
僕を定量化しようとしていて

僕はそれに応えるように
君を定量化しようとしていて

だから細切れの時間に
君は安心という名前をくれて

僕は安心という名の
少しだけ定量化された迷いを

君が微笑みかけるように
君に手渡してみようと思うんだ

sunny day

よく晴れた風のない日は
澄みわたる空が僕を

僕を置き去りにするから

この日差しはきっと
その暖かさを求めているひとに
より多く降り注いでいて

その日差しの強さを
不意に見上げただけの僕はもう
空の方向を見失っていて

それでも僕はその眩しさを
見上げているしかないんだ

広すぎる空の背中に
暖かさなんて要らないんだって
そっと呟いてみても

向かわない日差しは
それでも僕を焦がしていくのに
僕は立ち止まったまま

実感できないその眩しさを
見上げているしかないんだ

渇きを癒す風もない日の
澄みわたる空が僕と

君との境界線を曖昧にするから

それでも僕は
その解きほぐせない眩しさに
僕のためではない暖かさに

空の方向を見失ったまま
ただ焦がされていましょう

サクラチル

その白さを確かめるように
そっと花開く桜の花びらは

いつか自らが散りゆくことを
きっと知っているから

かすかに色づいたその白さを
そよぐ風に躍らせながら

色づきすぎることもなく
白さを残したまま咲くのでしょう

まるで自らを空へ放つように
萼を離れる桜の花びらは

いつか自らが散りゆくことを
きっと知っていたから

かすかに色づいたその白さを
そよぐ風に躍らせながら

そっと地表を撫でたあと
ただ静かに降り積もるのでしょう

僕もいつか
そんな君のように
そっと降り積もる
色づいた白に還るよ

僕もいつか
そんな君の待つ
白く埋め尽くされる
生暖かい土に還るよ