sachet

あなたの寝顔が
となりにあること

力を抜いたまま
ここにいてくれること

ほんとうに
しあわせに思います

あたまをいっぱい
使っちゃった日には

そっとおでこに
キスしてあげる

からだがとっても
つかれちゃった日には

おつかれさまって
ぎゅってするね

あなたに今日も
おやすみって言えたこと

あなたに明日も
おはようって言えること

ほんとうに
しあわせに思います

いってきますは
すこしさみしいけど

ほのかに髪に残る
匂い袋のラベンダーが

いつもふたりを
つないでくれるから

はなれていても
だいじょうぶだよ

あなたの寝顔が
となりにあること

あなたの寝息が
安らかなこと

ほんとうに
しあわせに思います

夜更かしするのも
楽しいけれど

眠っていても
いっしょだからね

ここでぐっすり
眠っていてね

だいじょうぶだよ
いっしょに眠ろ

shared wings

どちらが翼で
どちらが風かとか

どちらの翼で
飛んでいるのかとか

そんなことはもう
どうでもいいんだ

僕らはきっと片翼ずつを
ふたりの背中に分けあえばいい

つないだ手の温度で
風は上向きに変わっていく

つながってる笑顔に
風はきっとついてきてくれる

相手の背中の翼なら
いつだってよく見えるから

片翼ずつのふたりの翼を
もっと大切にしていけると思う

手を離さずにいよう
この温度を忘れずにいよう

ゆっくり休める場所や
お気に入りの景色

僕らを僕らにしてくれる色
きっといっぱい見つかるよね

手を離さずにいよう
この温度を忘れずにいよう

つないだ手の温度が
色の感覚をつなげてくれるから

目に映るすべてのものを
ふたりの色に重ねていけるよね

keen bayonet

降りしきる雨よ
僕が見えているなら

見上げる僕を
格子に撃ち抜いて

見せしめの処刑のように
この地表に僕を刻め

降り続く雨よ
もう飽き飽きだろ?

尖らせた退屈で
僕を刺し殺して

赤みを失う血の色に
僕の分布を指し示せ

撃ち抜くだけでいい
刺し殺すだけでいい

流されやしないさ
僕はずっとここにいる

僕を示す密度たち
血の色のマトリクス

scribble

僕がどのようにここにあるか
それだけを伝えることはできないから

僕はそのペンを手にとって
その風景を切り取るように

そっと僕のなかを
通過させてみるね

窓の外で鳥の鳴く声が
響いたり響かなかったりすること

道端に咲く花が
その道端を嘆かなかったこと

揺れる木漏れ日が
気まぐれに僕を試したこと

あの日の雨が
まっすぐには降っていなかったこと

あと

玄関の前に座っていた猫が
僕に言ってたこととかね

僕がどのようにここにあるか
それだけを伝えることはできないから

僕はそのペンを手にとって
その瞬間を切り取るように

そっと僕のなかを
通過させてみるね

そっと僕を通過させて
そっと僕を写し取って

だたそっと
君に手渡してみようと思います

cracked mirror

あなたのその手にあるものは
僕のような鏡の断片

知りたいこと
わからないこと

通り過ぎたものや
目の前に現れることの解釈

それを明らかにするための
その手に収まる大きさの

僕の言葉ではない
時間を止められた断片

僕の言葉は届かないのに
ただ照らし合わせるためだけに

あなたが握り締めている
もう僕ではない鏡の断片

savon

洗ってあげるってば
恥ずかしがることないよ

泡でバスルームが
いっぱいになっちゃうくらい

きめの細かい泡を
いっぱいつくって

そっと包むように
洗ってあげるね

強くしないから
だいじょうぶだよ

いっぱいいっぱい
きれいにしてあげる

それでね

きれいだよって
いっぱい言うよ

照れたって
恥ずかしがったって

きれいだよって
いっぱい言うんだからね

ねぇ

洗ってあげるってば
恥ずかしがることないよ

きめの細かい優しい泡を
いっぱいつくって

ちゃんと君を
包むからね

優しく包んで
きれいにしてあげる