唾液まみれのblocks

嗚咽と一緒に
喉の奥から次々と零れ落ちる
組み上がらなかったblocks

組み上げられるための凹凸が
僕の器官を壊していく

それぞれの色や形が
想起していたはずの

組み上げられるべきものの
設計図は失われた

必要なパーツのうちのどれだけが
僕のなかに作られていたのか

確かめることさえ
できなくなっちゃった

胃液と一緒に
喉の奥から次々と零れ落ちる
凹凸の噛み合わないblocks

いまわかったよ
涙越しに見えるそれらは

色数も形のバリエーションも
ぜんぜん足りなかったんだ

設計図が失われたせいじゃない
数ばかりあってもどうにもならないんだ

それが消えない現実
それが残された絶望

吐き出し終わるまでには
器官のほとんどを破壊された

もう何も零れ落ちない
唾液まみれの僕が残るだけだ

それが残された現実
それが消えない絶望

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feuilles dansantes

いつからか
螺旋に閉じた君を思う

受容されることを怖れ
ことさら閾値に敏感になって

自らの膜電位を
活性化することさえ否定しても

君の持つ風味が
なくなるわけじゃない

苦味ばかりが気になって
君はいつも君を不溶化してしまうけれど

真っ先に抽出されたそれは
螺旋の中に眠ったままの

君に脈打つ
甘味や酸味を待っているんだ

怖がってていいし
震えたままでもいい

笑顔じゃなくったっていいから
ちょっとだけ力を抜いていてね

ゆるやかに湾曲する壁面を
ただそっと撫でるように

対流する温度に身を任せて
くるくる回りながら

朝の日差しに耳を澄ませ
呼吸をあわせる花びらのように

惑いを口元に纏いながら
少しずつその身を開けば

君はきっと
君と混ざり合える

君が思うよりずっと
君らしくなれるからね

l’île du bout du monde

あなたが世界の端っこから
落っこちてしまわないように

僕がその世界の果てで
あなたを見守りましょう

すべての現実が外側へと流れ落ちる
その世界の果てへようこそ

あなたがあなたのために用意した
世界の果ての島へようこそ

land effect

瞳を開くために
ありったけの気持ちを
振り絞ってはいけない

瞳を閉じるときに
同じだけの気持ちを
消費することができずに

君はまたその夜に
眠りを遠ざけられるから

降り注ぐ光のイメージが
繋がる痛みを想起させて
君を絡めとるなら

君の後頭部に
地形効果をあげる

ずっと前から
そこにあったように
この手の温度を置いておくから

僕の胸に顔を埋めたまま
そっと瞳を開けてみればいいよ

瞳を開けていても
瞳を閉じていても

ずっと前から
そこにあったように
僕の温度はそこにあるからね

photon torpedoes

どんなに遠く離れていても

僕は誰よりも深く君を愛し
君を壊し、君を確かめるよ

たとえこの手が届かなくても

飛散する君の破片のひとつさえ
僕は決して見逃さないから

どれだけ君が君を見失っても
君はそこからいなくならない

マスドライバーに載せた
僕の声はいつだって君に届くから

相反する君を君は抱きしめて
いまはただそこでおやすみ

重力波パルスで加速する
僕の声はいつだって君に届くから

kill wyvern

君の両腕は
翼に進化したわけじゃない

目の前にあるものを
うまく掴めないから

それを両手で包み込んで
暖めることができないから

君はそれが翼だって言い張って
いつかこの翼で空を飛ぶんだって言い張って

君は問い詰められるべき事項のすべてを
不問にすることを思いついた

実にうまくできた言い訳
だけどそれはただの言い訳

そんな勝手な都合で
風を孕む翼なんて得られるわけもない

そして君は吹かない風を呪い
その手にできなくなったものを呪い

退化した五指
醜く伸びた爪で

触れるものすべてを切り裂いた
その異形なす

腕でも翼でもない
戯れに退化させられた役立たずな腕部では

もう何も望めないでしょ
あの日思いついた体のいい言い訳のせいで

君は君を最適化して
世界に繋げる手段を失ったんだ

そんな腕部なんて切り取ってしまえ
それも自分自身だなんて言ってる場合じゃない

切除するしかないまでに
それを腐らせてしまったのは
君自身なのだから

君よ
未だ君の中で希望然としている
君の翼竜を殺せ

ただ前向きでさえあれば
すべて許されると嘯いている
君の翼竜を殺せ