眠る眠る

眠る眠る
君の髪を

撫でるように
そっと触れる

眠る君の
髪がすこし

寂しそうに
震えたから

眠る君の
夢のなかに

僕の声は
届くのかな

眠る君が
望むのなら

温度だって
届けられる

凍う夜が
君を凍う

そんな夜は
君の中の

伝う闇が
君を伝う

君を僕が
暖めるよ

眠る眠る
君の吐息

安らかなる
ように僕は

眠る君の
夢のなかに

僕の温度
届けるから

眠る君の
口元には

笑みがそっと
寄り添うよに

眠る眠る
君の髪を

撫でるように
そっと触れる

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π

鳴らない電話を抱きしめて眠る
僕をいくつもの夜が通り過ぎても

そんな夜を繋いでたあの風の音は
僕にはもう聞こえないから

何も始まっちゃいなかったから
忘れかたが解らないだけ

簡単に言ってしまえば
たぶんそういうことだけど

何度もそう
言い聞かせてきたけど

ただいたずらに桁を重ねる
戻れない無理数の憂鬱

僕の経年劣化しにくい性癖は
いつか話したとおりだけど

それが負の感情にだけ作用するのではないことは
たぶん言ってなかったと思う

僕のなかにあるすべての感情は
それを生起させた要因があり続ける限り

時間に希釈されることなく
何十年でもそこにあり続ける

そうだよ
いまも君を愛してる

君のことを
想わない日はないくらいに

錆びついた風見鶏を見上げながら
歩く冬枯れの並木道

繋ぐ手の温もりさえ
伝え合えたはずだったのに

ここにいることのなかった君は
もうここにはいない

何もなかったっていうのが
たぶん一般的な真実

何度もそう
言い聞かせてきたけど

ただぐるぐると桁を重ねる
解(ほど)けない無理数の憂鬱