pound server

知識は身を護るためのものじゃないし
ひとを攻撃するためのものでもない

だいたい理論武装するために
恣意的に集められた知識なんて

まるで不自由を
貪り喰うようなものさ

個人の中に客観性なんて
ありゃしないけど

すぐに役に立つかどうかなんて
そんなことは度外視で

考え得る限り広範に
集められ蓄えられるからこそ

知識は確実に
任意の局面での選択肢を増やしていく

僕らはそのぶんだけ
局面から自由になれるわけだし

湧き出す泉の源泉は
そうやって作っていくものだからさ

知識は纏うものであり
また香るものである

光の加減で
その色を変えてみせたり

体温に反応して
宙を舞うようなものであるべきだ

広告

high anxiety

あたしはほら
母性本能で恋をするタイプだから

あんまり心配かけちゃダメだよ
好きになっちゃうから

吊り橋のうえで起こることが
すべて気のせいってことじゃないし

たまたま運命のひとが
吊り橋のうえにいただけかもしれない

そーゆうのを運命って言うんでしょ
そのへんを踏まえたうえでさ

わざわざ吊り橋の真ん中で
泣いてるようなひとは好きじゃないよ

なんで渡り始めちゃったのか
問い詰めたいくらいだよ

だけどそんな無責任なひとが
たまたま吊り橋を渡ってるときに

通りかかっちゃうのも
運命ってのかもしれないじゃん

あたしはほら
母性本能で恋をするタイプだから

あんまり心配かけちゃダメだよ
好きになっちゃうから

あたしをほら
もし独り占めしたいんだったらさ

いっぱい心配かけたらいいよ
好きになっちゃうから

von der tann

自分らしさを護るために
どれだけ壁を廻らせても

僕にとっては
ただ資料が増えるだけさ

その壁の後ろに
何があるつもりなのか

もう壁の質感だけで
想像できるようになったよ

例えばそう
君にとって

どうしても口にしたくない
言葉があって

それを言わずに済ますために
積み重ねた理屈の数だけ

僕はその言葉に
近づくことができる

それを口にすることで
君が頭で考えただけの

あるべき自分らしさとか
がんばってたはずの自分像が

いとも簡単に
崩壊していくさまも

それこそ手に取るように
思い浮かべられる

どれだけ厚着をしても
どれだけ厚化粧をしても

君はそれだけ
裸に近づいてくだけ

恣意的に後づけされたものを
順番に剥がしていって

最後に残ったものが
その答え

最も口にしたくない言葉
すなわちそれが

君を示すもの
最も口にしたいはずの言葉

あとは単純な話
ひとつを残せばいいわけだから

減算できる属性のものを
片っ端から全て減算して

忌み嫌われ続けた
その言葉を見つけるだけさ

traumatic doors

閉まるドア
走り去る君のうしろ姿が
頭から離れないんだ

たぶんトラウマのようなもの
何が要因になったのかは
ぜんぜん覚えていないけど

そこにいたはずのひとが
不意にいなくなるような状況に
僕はひどく弱いらしい

ありふれた日常を構成する
愛すべきものや
愛すべきひとたちが

なんの前触れも
なんの必然性もなく
次々と消えていく夢をみたよ

訪れる絶望のひとつ手前
その夢の終わりはそう
見慣れた駅の風景と

閉まるドア
走り去る君のうしろ姿が
頭から離れないんだ

追いかけても
追いかけても
縮まらない距離なら

せめて
君が口を開いてくれるのを
僕はずっと待ってる

w/o

どうしてだろう
気がついたときには

となりを歩くのが
当たり前に思えてた

そんな君は
ここにいない

屈託なく
居心地がいいって

言ってくれたのが
本当だったら

理由なんて
それだけでいいよ

君がいることで
辛くなるのと

君がいなくて
辛くなるのなら

いてくれたほうが
ずっといい

どうしてだろう
気がついたときには

近くにいるのが
当たり前に思えてた

そんな君は
ここにいない

理由なんて
なんでもいいよ

なんとなく落ち着くとか
そんなのでいい

だからどうか
僕のとなりに

だからどうか
僕の近くに

inertial canceller

それがいまの君のとって
禁句のようなものだとしても

一度だけ言わせてね
もう困らせないから

君のことが
大好きだよ

昼も夜もずっと
君を想ってる

それが僕の勘違いで
言っちゃいけないことじゃないなら

何度でも言わせてね
困らせちゃうくらいに

君を
困らせないように

君を
困らせたいんだ

no-see-um

溢れ出した涙を
あたしは止められない

いつものことだから
よくわかってるもの

あたしの涙かどうかは
よくわからないけど

いつものことながら
なにがこんなに悲しいんだろ

気にしないでいいよ
これがあたしの涙だとしても

悪いのはあなたじゃない
ただの琴線っていうか

地雷みたいなものだから
気にしないでくれていいけど

涙枯れるまで泣くのは
群れをなす無数の羽虫に

覆い隠されながら
喰われるようなものでしょ

だって枯れないのだもの
びっしりと埋め尽くされて

感覚を残したまま
永遠に削られ続けるだけ

気にしないでいいよ
たぶんこれはあたしの涙だけど

悪いのはあなたじゃない
あたしの人当たりの良さは

病気みたいなものだから
気にしないでくれていいけど

羽虫に喰われるあたしと
この枯れない涙を

どうか忘れないで
どうか見捨てないで

ブルーベリーは嫌い

ブルーベリーに嵌まってるんだ
ブルーベリー味のメニューがあったら
なんだって頼んじゃう勢いさ

だけどブルーベリーは好きじゃない
食べなくていいなら食べたくなんかない

美味しくないとは思わないし
身体にいいのだってよく知ってるけど

本当は好きじゃない
これっぽっちも好きじゃない

君のことだってそう
これっぽっちも好きじゃないさ

うちのコーヒーメーカーは一度に
8杯分も淹れられるタイプだから
それこそ一日中飲んでるけど

コーヒーはそんなに好きじゃない
むしろ飲まなくてもどうってことない

ファミレスのドリンクバーでいつも
浴びるように飲んでるコーヒーだって

本当は好きじゃない
これっぽっちも好きじゃない

君のことだってそう
これっぽっちも好きじゃないさ

僕は僕を困らせる方法を
誰よりもよく知ってる

何が致命傷になって
何が致命傷にならないかとかさ

君が僕を困らせる方法を
よく知ってるように

どうすれば君が効率よく傷つくかも
自分のことのように知ってる

真綿で首を絞めるように
この手で君を絞めていく僕は

きっと今まで君が見たことのない
優しい表情をしてるはずさ

試してみる?
痛くなんかないよ

僕の手首を掴む手の
糸が切れたように垂れ下がる瞬間

君は今まで誰も見たことのない
優しい表情をしてるはずさ

試してみる?
痛くしないからさ

sleeping beauty

そこに横たわる
君の寝顔の無垢けきを

妨げる不自由が
君に近づかぬように

いま君がみてる
その夢に口づけを

閉じた自由でも
それが君を休めるなら

君をその自由に
縛りつけるように

君を包んでる
その怠惰に口づけを

君らしくある
ありようが他にないのなら

君がもう二度と
目を覚まさぬように

力なく閉じた
その瞼に口づけを

今までに見た
どんな君よりも美しく

君を湛えている
その無垢に口づけを