snug retreat

目を見ればわかるなんて
そんなかっこいいもんじゃないよ

じっと見つめたと思ったら
困ったみたいに目を逸らしたり

なんだか忙しい君を見てたら
そりゃわかっちゃうでしょ

話したいことがあったら
話してくれればいいよ

言いにくいことだったら
なんにも言わなくていいよ

間が空いちゃってもいいよ
僕にまで気を遣わなくていいよ

いつも元気じゃなくていいよ
弱気になってもいいよ

泣いちゃいたい日だって
ここにいればいいよ

なんとなく落ち着くって言ってくれた
ここにいればいいよ

目を見ればわかるなんて
ほんとはそんな余裕ないし

僕だってじっと見つめたあとで
どうしようもなく照れたりする

なんだか変に忙しくしてたら
そう思ってくれていいよ

そんな境界のあいまいな時間を
大切にしていこうね

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sweetened sweet

何も加えなくたって
だいじょうぶなくらい甘いのに

うまく笑えない君を
もどかしく思ったりしない

君の笑顔がステキなのは
ずっと前から知ってるからね

だから僕がほんの少しだけ
お砂糖を入れてあげよう

君の持ってる風味を
消してしまわないように

君のなかに手を伸ばして
君を連れ出してあげる

sweetened sweet honey
まだ怖がってていいよ

そこでうずくまってていい
僕がいつだって君を見てるから

君の流す涙だって
ほんとは苦いだけじゃないんだ

だからもっとたくさん
流したらいいと思うよ

カカオ豆の苦味みたいに
君を引き立ててくれるからね

だから僕がほんの少しだけ
お砂糖を入れてあげよう

いつか君を彩る苦味を
消してしまわないように

君がうまく混じりあうまで
僕が暖めてあげる

sweetened sweet honey
もう寒くなんかないよ

ひざを抱えたままでいい
僕がうしろから抱きしめるから

neige de sourire

空の気まぐれみたいに
少しだけ降りてきた雪

ふわふわと降りてきては
また風に吹き上げられて

はしゃぐ子どもの手の
おもちゃの飛行機みたいに

楽しげに飛び回るから
僕はずっと見上げてたんだ

こんな冷たい地面になんか
積もらなくっていいんだって

ふと語りかけた僕に
雪が笑いかけた気がした

その白さに僕は
手を伸ばすべきなんだろうかなんて

そんな戸惑いだって
すぐにわかっちゃうんだろうね

そうまるで彼方の空から
君が手を差し伸べてくれたみたいさ

ちょっと懐かしいような
あたたかな白さがそこにはあって

それが僕にとってはまだ
ちょっと眩しかったりするんだけど

その手をとることができたら
僕もまだ飛べるんじゃないかって

そう思えたことに
ありがとうを伝えたいんだ

螺旋に舞い上がれ僕の想い
この空にせいいっぱい手を伸ばすから

折れた翼でもせめて
君の空まで届きますように

tightrope

夢を見たんだ

水滴が水面を打ったのに
すこしも波紋が拡がらない

滴下する音だけでもと
必死に耳を澄ましてみたけど

目が覚めたときには
必死に耳を塞いでいた

現実と夢の境界なんて
曖昧なもので

思い通りにならないことに
変わりはないけど

自分の血の色が何色で
痛いってどんな感覚だったかとか

短絡的に確かめたくなるほど
大人でも子供でもない

だいたい痛みなんかより
吐き気のほうが余程手に負えないし

存在証明なんて
そんなんで充分だろ

見慣れない自分が映る鏡に問う
何がそんなに可笑しいのかと

ああそうか

足の裏が生暖かいものでぬるぬるするからか
それはよくわかるよ

さあ
今日の綱渡りを始めようか

wand of mages

君は嘆きの魔法使い
杖を失くした魔法使い

その嘆きが君の魂まで
呑み込んでしまう前に

僕が作った杖をあげるよ
ちょっと気難しい杖だけどね

この杖はその魔力を失うまで
その手から離れることはない

それまで君が発する言葉は
ぜんぶ魔法に変わっちゃうんだ

それでもよければこの杖を
杖を失くした君にあげるよ

君は嬉々として杖を手にとり
どんどん魔法を唱え続けた

君が求めた温もりは
君がそれを訂正する前に差し出されるし

君が嫌った寂しさは
君が罪悪感を感じる前に回収される

そうだよこの杖にはもうひとつ
説明してなかったルールがある

杖の魔法によって実現したことは
同じ杖の魔法では上書きすることができないんだ

いまになって気づいても
その杖は君の手から離れない

君が望み貪ったものを
君がわざと見過ごしてきたもので埋め合わせて

その魔力を無効化するまで
その杖は君の願いとは裏腹に君の望みを叶え続けるんだ

目を逸らすこともいなくなることも
君自身の魔法でもう選択できなくなってる

杖の魔力を一発で使い切る
強力な呪文もあるにはあるし

その呪文の言葉や唱えかたなんて
ずっと前からわかってるはずなんだけど

少なくとも僕に対して
君がそれを唱えることはない

だから僕が作ったその杖は
もう君の手から離れることはないんだ

君が望めば望むほどに強く
君が望まないなら望まないほどに強く

君が君自身を忌む限り
君の手から離れることはないんだ

loktofeit

およそ想定できるすべてのもの
その何もかもを失ってもいい

そんな覚悟と引き換えに
護るべき大切なひとの顔や

帰るべき場所のひとつさえ
思い浮かべることができないのなら

およそ想定できるすべてのもの
その何もかもを置き去りにすることでしか

もう僕はこの存在を
認識できないんじゃないだろうか

忘れ去るだけのために
手にしたものを忘れ去って

忘れたという事実と
その忘れかただけを握り締めて

統計的手法によってその実体を
投影するしかないんじゃないだろうか

exploder bullet

気づいてないの?
それとも気づかない振りなの?

あなたが好きだって言ってくれた
あなたのお気に入りの笑顔は

もうとっくに
凍りついてしまってるのに

ねぇどうして
まっすぐに撃ち抜いてくれないの?

映ってるのは
あなた自身なんだよ

あなたが褒めてくれたから
やっと目をあげることができて

ただまっすぐに
あなたを見つめたから

あなたの時間は
そこで止まってしまったんでしょ?

あなたが手錠で
あたしが足かせだね

でもそんなの最初から
わかってたことじゃないの

ごめんねなんて
ぜったい言わせないからね

さぁ早く
その銃口をこっちに向けてよ

狙いなんて
適当でいいよ

痛みも苦しみも
とばっちりの憎しみも

罪悪感だってぜんぶ
あたしの身体で止めてあげる

だから早く
その引き金に指をかけてよ

致命傷じゃなくていい
楽になろうなんて思わない

何も言わずに
その引き金を引いてみせてよ

mittens

てぶくろなくした
きみをみつけた

みぎてのえがお
ひだりてのなみだ

つないでたひもが
きれちゃったから

みんななくした
きみをみつけた

ぼくのてぶくろ
きみにあげるよ

てぶくろなくした
きみにあげるよ

いくあてなんて
なくてもいいよ

ぼくのなみだを
きみにあげるよ

はんぶんこして
かたっぽずつだね

ひもがぐるぐる
からまっちゃっても

あったかいから
だいじょうぶだよ

つながってるから
だいじょうぶだよ

かたほうのては
つなげばいいよ

なみだとえがおを
つなげばいいよ

あったかいから
だいじょうぶだよ

つながってるから
だいじょうぶだよ