そんな時間

たとえば君と
過ごすとしたら

プレーンオムレツを作るときの
フライパンの温度を

バターの匂いで
判断してるときのような

そんな時間を
過ごしてみたいです

いつでも君と
過ごすとしたら

クリームシチューを作るときの
具材の煮え具合を

ローリエの匂いで
判断してるときのような

そんな時間を
過ごしていきたいです

静かな夜

いろんなものの密度が
ほどよく一定になる夜

何かが聞こえたような気がして

あるいは
何かが聞こえるような気がして

何かを待つでもなく

猫の集会みたいに
ただ空を見上げたりしてた

そして
何かが響く

なんだかとても
懐かしい音

あなたが僕を打ったのか
僕があなたを打ったのか

あのときだって
わからなかったけど

この音で
この振動で

繋がっていた夜が
いくつもあったから

つい温度だって
確かめたくなるけど

この音をただ
寄せては返すように

ずっと響かせてくれそうな
そんな夜だから

この音に今夜は
身を委ねてみようと思います

静けさと闇と
あなたの音に

ありがとう
おやすみなさい

universe

あのころ僕の世界は薄暗く

時おり射す光の方向さえ
僕はすぐに見失っていた

僕の周囲に僕の内部に

見聞きした事柄もただ
座標を変えながら漂うばかりで

忘れ去られることもなく

繋がりを持たない断片に
僕は何も見出せずにいたけど

あの日僕は
君に出会った

君が笑えば
そこが世界の中心

照れて笑えば
僕が世界の中心

感情の糸が断片を繋いで
何かを形作っていく

差し出した手を
君が握る

触れ合った手のひらの間に
世界は生まれる

たぶん僕らは
いつまでだって

ずっとずっと
そこで遊んでいられるけど

扉のなかも
扉の外も

もう同じ時間の
流れる世界だから

怖がることもないし
勇気なんて必要ない

夢も希望も
理由だって必要ないんだ

感情があって
その感情に帰る場所があれば

記憶や知識の断片は
あるべき座標に落ち着いて

世界はちゃんと
世界の形に繋がっていく

狭すぎることも
広すぎることもない世界

明るすぎることも
暗すぎることもない世界

手のひらに原点
それが僕らの帰る場所

それだけで僕らは
いつまでだって

ずっとずっと
ここで遊んでいられるんだ

orbital resonance

道の歩きかただって
きっとわかってなかったんだ

君の背中を追いかけながら
そんなことを思う

あたし割とよく転ぶんだ
いろんな意味でだけどね

前をちゃんと見てないとか
そういうことじゃなくて

ちゃんと見てるよって
言いながら転んでた

でもさ
なんかわかっちゃったんだ

たぶんあたし
つまずかないようにしすぎてた

別にいつでも
支えてて欲しいわけじゃないし

そこまで気が利くひとって
わけでもないんだけど

つまずいたって
転ばなければいいだけだし

たまにだったら
転んでもいいんだって

そんな歩きかたなんて
今までできなかったから

君を半歩だけ追い越して
ちょっと見上げてみたりして

でも何も言わないで
ちょっと困らせてみたりして

それだけでちょっと満足
そんなあたしの歩きかた