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平坦で見通しのいい道は
なんだか不安になるんだ

何時間か歩いただけじゃ
なにも変わらないような気がするから

曲がりくねった険しい道は
きっと挫けそうになるんだ

山がそこにあるってだけで
登りたいなんて思うやつは限られてる

適当に登ったり下ったりしながら
歩いていければいい

分かれ道で迷ったら
コインでも投げればいい

道端に花でも咲いてたら
立ち止まって眺めればいい

どっかで猫の鳴き声がしたら
道なんか外れて探しにいけばいい

距離とか時間なんてのは
存在にくっついてくるもんだ

そこにいるってことだけ
ちゃんと確認できればいい

いつか「ついた」と思った場所が
目的地だったってことにするさ

そこから大雑把に逆算して
君に会いに行くよ

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まにまに

「最近さぁ」
「ん?」
「雨宿りとかしてる?」
「それはこう、新しい挨拶かなんかなの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「うん」
「したほうがいいよ、と」
「いやだからそれはこう」
「ん?」
「新しい宗教かなんかなの?」

「たとえばほら、ヨットがさ」
「うん」
「そこそこ逆風でも進めるっていうじゃないの」
「いうね」
「あれがよくわからない」
「いやいや」
「いや、理解はしてるんだけどね」
「そうだろうね」
「わからないんだよねぇ」
「んま、わからないでもないけど」
「でしょ」
「本位じゃないだろうねぇ」
「んま、交通機関としてのプライドとかあるにしてもさ」
「うん」
「ひとよりは風に近いと思うんだよね」
「存在としてね」
「だから、ヨットなりでいいんだよ」
「うん」
「風向きが変わるときは、そこそこの確率でなにか言いたいんだと思う」
「風がね」
「うん、でも風語は難しいからさ」
「ヨットに翻訳してもらおうと」
「うん」
「まっすぐ進むだけじゃわからないこととかあるよね」
「わからないというか、気づかない」
「そうそう」

「だからさ」
「うん?」
「雨宿りはしたほうがいいと思うよ」
「あ、そうか」
「そう」
「ま、それはそういう流れなんだよね」
「逆らわないことで、見えてくるものもある」
「うん」
「だから傘はカバンに入れとくことにしてる」
「なんの話?」
「流れによっては持ってないふりもできるでしょ」
「それは逆らわないことになるの?」
「んま、だいたいまにまに」
「なんのまにまになんだか」

「なんなら君のまにまに」
「ま、雨がそう言うんなら仕方ないけどね」
「降らないかなぁ、雨」
「いや、それ言っちゃダメじゃないの」