ふたりぶん

半熟卵なんて
うまくいったことないよ

ひとりぶんだけ作ったって
いつも失敗ばかりさ

今日はたまたまうまくいって
おいしくできてよかったけど

どうしてうまくいったか
なんとなく僕は知ってる

失敗したからって
きみは怒ったりしない

うまくいったからって
ほめてくれるわけでもない

おいしくできるって
なぜか信じててくれて

待ってましたとばかり
おいしそうに食べる

だからだと思うんだ
きみのぶんもいっしょに

ふたりぶんで作るから
きっとうまくいくんだ

期待してくれていて
期待しすぎるわけでもなく

そんなきみのぶんだから
きっとおいしくなるんだ

ブリのアラの煮物なんて
作ったことなかったよ

煮込んだ大根なんて
そんなに好きじゃなかったし

でも君が目を輝かせて
魚がいいって言うから

何の根拠もないけど
うまくいきそうな気がする

アルミ箔を落として
じっくりと煮込む

きみは僕の手際を
たのしそうに見てる

時間と手間を煮詰めて
おいしさに変える

そんな魔法だって
きみがいなくちゃつかえない

だから感謝してるんだ
僕の食わず嫌いも

きみの少しのわがままで
ましになったりするんだ

あたりまえの日常を
あたりまえにしないように

そんなふたりぶんだから
きっとおいしくなるんだ

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