間接照明

僕は君に背を向けたまま ただ君を照らしましょう たいした光量でもないのに 君の影を際立たせてしまうくらいなら 僕は壁や天井に向かえばいいんだ その白さに身を預けてしまえばいい 誰も僕を照らさなくても 誰も僕に影を落とさな […]

物心ついたときにはすでに 僕の手にはひとつの鍵が握られていて 僕は扉を開けることを覚えてしまった それがたぶん間違いのはじまりだったんだと思う 見回せば開け方のわからなくなった扉はそこらじゅうにあって 使い途のわからない […]

doubt

嘘を宣言すればそれで終わり ひとつ指を鳴らすだけで 僕の中にあった僕のようなものはあっさり消失する ふざけた外殻は乾いた砂になって内側へ崩れ落ちる 内側そのものは存在を失いながらより内側へと収縮し そのもっとも内側で空間 […]

overflow

こうして溢れ出したものだけが真実 器に残ったものは全部嘘っぱちだ 笑ってる外殻なんてもう要らねえよ ただの容れモンだ中身なんてねえ

オブラート

うだうだやってんのは性に合わねえんだよ 誰の正面にも立たず 自分の正面には誰も立たせないまま そのままいつまで生きるつもり? 斜に構えていることしかできないのに それが自分だって言い張るんなら それも含めて自分だからって […]

そんなに難しいことじゃないよ 悲しさは確かにそこにあって 自分と似た悲しさは見えるはずなの 唐突に悲しくなってしまうようなとき 自分とその悲しさを結ぶものが見当たらないのに ただ悲しさだけが存在するようなとき 特別な感情 […]

存在

だいじょうぶだよ あなたはちゃんとそこにいるよ 僕には見えているからね あなたが求める呼び合えるべきものと 呼び合えない隙間に涙は溜まっていくの たぶんあなたの中にあった涙が僕を呼んだんだ その思いの強さを僕は知っている […]

useful dead

それでいいよ 僕を使っていいよ 隙間埋めるだけだっていい 一番なんかじゃなくってもいい 道具みたいに使っていいよ ちょっとでもさみしくなくなるんなら ちょっとでもあたたかくなるんなら 僕の気持ちなんて彼方でいいよ きっと […]