嘆く球体

例えば僕らがもとはひとつの球体を構成していたとして
僕らはそこに戻るべきだと思う?

球体は物質の最も安定した形状
傷つきにくく傷つけにくい形だけど
そう簡単には壊れない形なんだよ

それでも球体は分かたれたんだ
球体は嘆いていたからね
その表面の滑らかさと引き換えに
鈍らされていく自身の感覚を

だから自身を砕いたんだ
まだ内側に燻っていた感覚を剥き出しにして
それを僕らに託すために

僕らに惹かれあえる心を
呼びあえる力をくれるためにね

分かたれた僕らはいくつかの鋭い端辺を持って生まれるけど
触れるものを痛めてしまうその形だからこそ
簡単に痛んでしまう不安定な形だからこそ

僕らは出会えるんだ
僕らは触れあえるんだ

心のまま惹かれあえばいい
呼びあえる力を眠らせちゃいけないんだ

分かたれた球体のイメージを抱えたまま
その不安定さえ僕は愛してみせるから

重なる痛みを循環させるように
分かたれたまま抱きしめあっていよう

鈍らない感覚を重ねあいながら
痛いくらい抱きしめあっていよう

よく言われることII

「わたしなんかでいいの?」

きっと君はその言葉を噛みしめていたんだね
敢えてそれを口にしなかった君の覚悟を
僕はいとおしんでいたんだよ

「私、けっこうやきもち焼きだから」

代わりにそう言って君は笑ったね
うん、女の子はそれくらいでいいんだよ
困らせてくれるくらいでちょうどいいんだ

でもね、僕はその覚悟を受け取ったから
受け止めるってもう決めたからね

だから弱音を吐いても構わないよ
不安になったら何度だって訊いていいんだ

何度でもちゃんと答えるから
それを面倒くさがったりしないからさ

「君じゃないとダメなんだよ」

離したくないなら離さなくていい
胸を張って独り占めしてていいんだからね