coherence

伏目がちな日常 せめて夢の中だけでもと すがるような気持ちで 目を強く閉じすぎるから 目を閉じたまま見る夢は ただでさえ仄暗い世界を 手も届かないくらい 遠ざけてしまうけど 照らすでもなく 導くでもなく 瞼に映る 赤い光 […]

空を飛べる日

小さいころから、自分は空を飛べるんだと思ってた。いや、今でも飛べると思ってる。だからときどき確かめたくなる。 「いい風だ」 なびく髪で風のかたちがわかるくらいの風。このくらいがいい。つい目を閉じてしまうような強い風は、い […]

contrail

「なんでため息かなぁ」 「あ、ごめん」 「いいよ別に。そんなに悲しそうじゃないし」 「んま、ちょっと安心したからみたいな」 「うん」 「それにしてもねぇ」 「ん?」 「用事ってほどのことじゃないとは聞いてたけどさ」 「な […]

springlike

春を待つ君はまるで 永遠のように眠る 君が待っているのは 春そのものじゃなくて ひとりじめしても 怒られないくらいの ずっと触れていられる 確かな温もり 僕は春じゃないけど 春のような素振りで 春を待っているはずの 君を […]